北海道大学 理学部
物理学科 支援室
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卒業生レポート



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北海道大学を選んだ理由は、道内唯一の総合大学としてほぼ全ての学部が一つのキャンパスに集まって機能しているからです。学部1、2年次には「文系の授業を受けられるのは今このときだけ」と思い、哲学や中国文学など興味の趣くままに履修していました。物理以外の知識も増え、履修をきっかけに他分野の友人もできて楽しかったです。物理学科に進んだのは宇宙物理に惹かれてでしたが、実際に学んでいくうちに身近なものの特性を解明していく物性物理学のほうにより興味が深まっていき、そちらを研究テーマとすることにしました。


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2005年フランスのリール市で5th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex systemsに出席。発表後、アメリカ人研究者とさらに深い議論を重ねた。


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私の専門分野は化学物理学/複雑液体物理学で、複雑液体の分子ダイナミクスについて研究していました。複雑液体とは液体と結晶固体の中間相にあたるもので、私たちの身近にある水やガラス、液晶、高分子、生体水や生体膜などです。複雑液体の分子ダイナミクスを解明するため、超広帯域誘電緩和測定法という、15桁(10μHz〜10Ghz)にわたって速度が異なる分子運動を測定できる実験装置を用い、水素結合性液体である過冷却ポリオールの分子ダイナミクスの起源について研究しました。 物理学科の「演習」の中には、解いた問題を黒板に書いて説明する授業があります。なぜそのように解いたのか、解けた結果を実際の現象と照らし合わせてどのように解釈するのか。先生や他の学生たちとディスカッションするこの時間で、物理学の基礎知識やプレゼン能力、ディスカッション方法について鍛えられたと思います。 大学院に進むと国内外での学会発表に参加します。様々な意見交換を通じて新たな視点を持てたことが「海外でポスドクをやってみたい」と思ったきっかけにもなりました。アメリカに行き、自分の研究が世界とつながっていると実感できたことは、とても大きな収穫になりました。


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2006年ポーランドのポヅナン市の国際会議にて。屋外でのバンケットは「夜のピクニック」のような雰囲気。ドイツやイスラエルの研究者と話が弾んだ。


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研究を続けていくうちに、自分がこれまでにインプットした技術・経験を社会に役立つようにアウトプットしたいと感じるようになりました。さらに、自分と似たバックグラウンドの人間が少ない分野には、自分の経験を持ちこんで生かせる多くの可能性があると思い、<物理・化学・生物の融合分野を扱いながら、基礎研究を重視し、時代のニーズに合わせた変化を進める企業>を探して、現在の富士フイルムに至ります。 キャリア採用の場合、スキルマッチングと応募のタイミングが非常に重要です。就職説明会にはつねに履歴書と職務経歴書を持参し、企業と直接話をしました。マッチングする企業はそう多くなかったのですが、自分の強みや弱みについてアドバイスをいただいたり、他社への応募を勧めてくださる企業もあり、「自分のスキルが役立つ場所が必ず見つかる」という自信につながりました。就職は自分の生き方に直結するので情報を集めるだけでなく、実際に体当たりして確かめてみることがおすすめです。


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同じくポヅナン市の国際会議、自分が発表するポスターの前で。2007年9月には第1回日本物理学会若手奨励賞(領域12)を受賞した蓑口さん。「いろいろと不安が多い若手研究者にとって、コツコツと研究を続けていればいずれこういう日の目を見るときが来る、と分かってもらえたら嬉しいです」


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配属先となった解析技術センターは、社内の製品開発部門や製造部門などに対し問題解決と良い製品を作るための指針を提案する、研究開発の水先案内人としての役割を担う部門です。大学で培った物理学の基礎知識と測定技術は、今の仕事に直結して役立っています。 物理は数式という言語を使用して人間に分かりやすいように自然現象を読み解く学問ですから、きちんと理解しておくと色々な分野につながっていることが後に分かってきます。自分の仮説を立てた上で実験し検証するにしても、闇雲に進めるだけでは意味のある答えは得られません。「なぜ、そうなるのか?」という疑問に対し、調査や自分の経験から仮説を立て、確認できる実験を考えて検証し、成功や失敗した点を分析する。北大理学部や大学院の研究生活でこの訓練を積むことができました。 今後は、新しい技術開発をしたり、他の実験手法やシミュレーションを融合した新しい解析ルートを作ったりしたいと考えています。


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