NMR測定では様々な場面で信号の位相を変化させる必要があります。今回は入力した二つの信号のどちらかを選択し、その信号を0°と180°の二つの位相に分ける位相反転回路を製作しました。また、入力する2つの信号が同じ周波数で位相が90°異なっていたのであれば、2つのスイッチによって回路から0°、90°、180°、270°位相の違う信号を出力することができます。
信号を切り替えるスイッチとしてADG918を使用し、位相を反転させる素子としてPSCJ2-1を使用しました。以下が回路図と実際の回路基板のプリントパターンになります。 <\p>
図1
回路図(クリックするとpdfバージョンが開きます)
図2
プリントパターン
PSCJ2-1は入力された信号を、入力された信号を0°と、180°変化した信号に分けて、2つの信号に分けて出力する電子部品です。スイッチであるADG918はRF1とRF2から入る信号に対して、CTRLを2.5Vでプルアップしておきオープンコレクタで切り替えを行うことによって、RFCからいずれか1つの信号を出力できます。図面にあるADG2では外部から入力される2つの別の信号をどちらか1つだけに選んで取り込むことができ、ADG1ではPSCJ2-1によって分けられた2つの信号のうちどちらか1つだけを出力することができます。
この基盤に必要な電子部品を丁寧にはんだ付けします。写真が実際の基盤です。この基盤をケースに実装すれば位相反転回路の完成となります。
図3
作成した回路の写真
この回路のインサージョンロス(信号を通した時に失ってしまう電力)と位相がきちんと180°ずれているかを測定しました。インサージョンロスは100MHzで-8.2dB程度、100MHzの位相はほぼ180°反転していることが確認できます。
図4
インサージョンロス
図5
位相ずれ
入力信号に0°、90°の位相の信号を入力すれば以下のようにこの回路でQPSKを行うことができます。いずれのADG-CTRLのスイッチが両方とも1の時を0°として位相のずれを表しています。
ADG1-CTRL | ADG2-CTRL | 出力される位相 |
---|---|---|
1 | 1 | 0° |
1 | 0 | 90° |
0 | 1 | 180° |
0 | 0 | 270° |
2012年10月1日