不平衡は一方が接地していてグラウンドからの電位で表され、平衡は二本の線間の電位差で表されます。近年のADコンバーターが平衡で入力(正電圧にバイアスされた差動入力)する形であるため、不平衡から平衡に変換するような回路を設計しました。
今回のキーデバイスは高速差動アンプAD8132であり、NMRでの使用を前提としているため出力インピーダンス0の回路からの入力を前提として2チャンネルの回路を設計しました。この回路に接続する不平衡入力信号はVRでバイアス電圧を調節することができます。入力信号が50 Ωの出力インピーダンスの場合、R6とGND、R12とGNDとの間に25 Ωの抵抗を入れ、平衡入力信号J1とR5、平衡入力信号J2とR11との間にGNDとつないだ50 Ωを入れて50 Ωに整合して下さい。(AD8132のデータシート参照)
回路図はこちら。
回路のチェックは、バッファアンプで出力インピーダンスを0にしたシグナルジェネレーターの出力を用いました。2つの出力で入力の半分の振幅が互いに位相反転していれば、不平衡から平衡へ変換していることを確かめることができます。実際に、1.28 kHzの振幅が1 Vの入力をかけたものが図2で、2つの出力で観察されたものが図3です。図3上から出力1で1.56 Vを中心として振幅が0.49 V、図3下から出力2で1.57 Vを中心として振幅が0.48 Vでふれていることがわかります。2つの出力で振幅がおよそ0.5 Vで位相反転しているので確かめることができました。
図2
図3