Ultrasonic Team (T. Yanagisawa, Hokkaido Univ,)    
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5-4 これまでに超音波測定から得られたオフセンターラットリングの傍証
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5.2 3-20-6系クラスレート化合物 »


Topics: 超音波からみた多極子・ラットリング
5. 超音波からみたラットリング

Sep 29, 2011
本稿は、新学術領域研究(研究領域提案型)「重い電子系の形成と秩序化」が主催した「重い電子系若手秋の学校’11」のテキストブックをHTML化したものです。

第5章 超音波からみたラットリング


5.1 「ラットリング」という言葉の定義


ラットリング(ラトル)という用語が,カゴ状化合物に対して初めて使われたのは,著者の知る限り1980年にBraunとJeitschkoが充填スクッテルダイト化合物の系統的な構造解析の論文で登場したのが初めてである[50].そこでBrawnらはカゴを構成する原子とゲスト原子それぞれの(構造解析で得られた)熱因子を比較すると,ゲストイオンの熱因子の方が2倍以上の値を持つことから,

''... an indication of a flat minimum in the patial configuration of the potential energy; i.e., the lanthanum atoms seems to 'rattle' or (in a more sophisticated and somewhat different model) they may participate in a `soft' lattice mode.''


と記述している .

これらの「ラットリング」は近年カゴ状化合物に対するX線や中性子,ラマン散乱などの散乱実験で~数meVの比較的エネルギースケールを持つ光学フォノンとして検出されており[51-54],広い意味で「巨大振幅を持つ原子の熱振動」と認識されてきた.一方,超音波を用いてカゴ状化合物を観測すると,f電子の四極子自由度に由来しない「超音波分散」と「低温ソフト化」を示すものが見つかった[55-58].超音波の周波数が高々数百MHzであることを考えると,超音波で観測されるこのf 電子自由度に由来しない「低温ソフト化」は数μeVのエネルギースケールを持つ励起に関する現象であり,前述の光学フォノンとは異なる現象を観ている可能性がある.本章では未だ全容が明らかになっていない「オフセンター・ラットリング」と呼ばれるこの低エネルギー励起に関するこれまでの研究の経緯を紹介する.

 

(第5章2節に続く)

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