The focus of our research (Nihongo)
Mar 08, 2008
超音波でみる固体の電子
私の専門は物性物理学といわれる分野です。物性とはまさにモノの性質。地球上の全てのモノは元素によって成り立っていますが、さまざまなモノの性質はその元素が持つ電子の状態によって決まっているといっても過言ではありません。この電子は「 スピン 」という磁気に関係する自由度と、「 軌道 」とよばれる電気的な自由度を持っています。このうちスピンの自由度は磁気測定などで検出することができますが、軌道の自由度は「超音波」で検出することができます。それでは具体的に超音波で何が見えるのでしょうか。音波は金属や絶縁体にかかわらずモノの中を自由に伝わるため、医療での診断や金属の破断など、主にドップラー効果を用いたイメージング(可視化)や非破壊検査などに広く応用されていることは皆さんご存知でしょう。一方、私の研究はそれらとは異なり、マイクロメータ(10-6m)程度の短い波長を持つ音波を用いてモノの固さを精密に測定し、「電気四極子」や「局所電荷ゆらぎ」(例えば原子のラットリング)といった固体内の電子にまつわる性質を調べています。研究対象となる物質は、さまざまな電子デバイスに応用可能な金属化合物や、宝石などで知られる絶縁体などの「単結晶」です。北海道大学には極低温実験の拠点がありますので、液体ヘリウムを用いた冷凍機を用いて絶対零度近傍までモノを冷やすことにより、さまざまな量子現象を観測することができます。
私は異分野との交流・共同研究を望んでいます。興味の有る方は是非 研究室にいらっしゃってください。
柳澤達也