カンザス州立大学哲学部 Bruce Glymour教授と本研究室 松王教授との研究上の交流をきっかけとして、カンザス州立大で開かれるGlymour氏の集中講義(2011年3月)に、本研究室の3人の院生(尾崎、小野田、佐藤)が参加することになりました(松王が引率します)。
Glymour氏(父は、かのClark Glymour)は生物学の哲学で優れた業績のある科学哲学者ですが、同時に、理系の学生に対する科学哲学教育にも熱心に取り組まれています。
現在、本研究室の松王は科研費研究「科学的方法論を主題とした理系学生の教育プログラム構築」に取り組んでおり、同様の関心をもつGlymour氏と昨年来、様々な情報の交換を行っています。今回の3人の院生派遣は、そうした交流の一環であり、カンザス州立大の協力、および科研費、北大海外教育交流支援事業の支援により実現しました。
今回の集中講義シラバスはこちらです。理系の学生(あるいは科学者)が実験・観察データについて統計処理を行う(統計モデルをつくる)際に何に注意すべきなのかを、科学哲学のトピックをもとに探るという内容です。講義に先立ち、受講生はカーネギーメロン大学で公開されているCausal and Statistical Reasoningというcourseware(Clark Glymourらが開発したもの)やいくつかの論文で予習を行い、講義ではかなりの時間がディスカッションに割かれる予定です。
科学哲学の議論には、理系の基礎教育にたいへん有効な部分があると思われます。3月の講義終了後に、その内容(科学哲学の教育実践)についてまた詳しく報告します。