Colloquium
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Colloquium 2011
- 題目:
群れの科学
- 講師:
阪上雅昭 氏
(
京都大学大学院 人間・環境学研究科
)
- 日時
2011年12月7日(水曜日)16:30〜17:30
- 場所
理学部2号館2階11号室(2-2-11)
- 要旨
魚群のような生物集団を眺めたとき,群れの形の多様性そして外敵に対する反応
の俊敏さに驚かされる.このような魚群のダイナミクスを議論するため、
Reynolds による BOID や Vicsek あるいは Tu-Toner のモデル化のように,魚
を自己推進力を有する粒子(SPP)としてとらえるものが提案されている.
これらのモデルでは各個体の速度,特に運動の向きの自由度をスピンと見なし
ている.このスピンが近傍の個体との強磁性的相互作用で向きをそろえることで
群れを形成する.つまり生物集団を移動し構造をつくるスピン系としてモデル化
している.このモデルで適当なパラメタを選択すれば群れが形成されることは数
値シミュレーションにより示されている.さらにTu-Toner たちは,モデルの連
続極限を考え,そこに音波に対応する波動モードが存在することを示している.
本講演では,魚の遊泳および魚群の基本的性質とモデルついて解説した後,ま
ず数値シミュレーションで得られた魚群のサイズ分布などの性質と観測結果の比
較検討する.次に水族館で撮影した魚群(イワシ)のハイスピード動画の解析結
果について報告する.power spectrum 等の画像解析を行うことで,通常の10
倍の速度で泳ぐburst mode の存在が示された.また魚の屈曲が高速で伝搬する
aggitation mode という速い情報伝達機構の存在についても議論したい.
講演の後半では,群れの科学の今後の展開として捉えている,「群れにはリー
ダーが存在するのか」,「発達段階と群れの形成」という興味ある問題について
言及する.さらに,拍手の同期などの非常に簡単な問題を手がかりにして,人間
集団を群れの科学の研究対象にする試みについて議論したい.
- 連絡先: 北 孝文 (内線 2687)
物理コロキウム世話人 奥田 浩司 (内線 3442)