Colloquium
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Colloquium 2010
- 題目:
分子導体における電荷秩序と電荷秩序ゆらぎ
- 講師:
薬師 久弥 氏
(
分子科学研究所・教授
)
- 日時
2010年1月28日(金曜日)16:30〜18:00
- 場所
理学部5号館2階06号室(5-2-06)
- 要旨
電荷秩序相転移は運動エネルギーと電子間クーロン反発エネルギーとの競合
で引き起こされる。後者が勝るとき、電荷はウィグナー結晶化するが、この
電荷秩序状態は電荷の不均化率と配列様式で特徴づけられる。振動分光法は
この不均化率を容易に決定する事ができる。また、電荷秩序状態に隣接する
金属状態には電荷秩序ゆらぎが発生していると考えられている。電荷秩序相
転移は多くの場合構造変化を伴い、この電子格子相互作用も重要な役割を担
っている。構造変化の前兆としての構造ゆらぎが観測される物質の金属相に
ついては、X線回折による研究がおこなわれているが、対称性の低い物質にお
いてはこのような構造ゆらぎを観測する事が困難な場合が多い。このような
物質においては、分子振動の線形に反映される電荷秩序の時間ゆらぎを解析
する事によってゆらぎの情報を引き出すことができる。この様な観点から、
β”-(BEDT-TTF)(TCNQ)とα-(BEDT-TTF)2I3の電荷秩序相転移を振動分光法に
よって観測した例ついて紹介する。
- 連絡先: 河本 充司 (内線 4423)
物理コロキウム世話人 奥田 浩司 (内線 3442)