Colloquium
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Colloquium 2009
- 題目:
同位元素^18O置換による零点振動数の減少で発現する量子常誘電体SrTiO_3の強誘電性相転移
- 講師:
徳永 正晴 氏
(
北海道大学名誉教授
)
- 日時
2009年7月28日(火曜日)16:30〜
- 場所
理学部2号館2階11号室(2-2-11)
- 要旨
ペロフスカイト酸化物SrTiO_3は、誘電率の逆数(∝ソフトモード振動数の2乗)
が高温領域でTo=40 Kを外挿温度とするCurie-Weiss(C-W)則を示す。しかし誘電率の
逆数の温度依存性は絶対零度に近づくにつれC-W直線から外れ、絶対零度までゼロにな
らない。この機構は零点振動に起因する量子効果により説明され、量子常誘電性と呼ば
れてきた。1999年にItohらが酸素^16Oを^18Oに置換するとTc=24 Kで強誘電性相転移
を示すことを見つけた。この結果が置換による零点振動数の減少のみによってどの程度
定量的に説明できるかを、Self-Consistent Phonon(SCP)近似理論により検討した。
SCP理論を書き換えると、2つの温度、(1)To,(2)混晶SrTi(^16O_1-x^18O_x)_3
(x=0.33)でのTc=0 K,を実験値として導入することでTcを求めることができる。水素
結合系の水素の同位元素置換効果は、零点振動数の減少率(2分の1の平方根)のみで
は説明できなかった。SrTi^16O_3での減少率は下記の(B)を考慮すると、最小でも
"18分の16の平方根"となり、1に近い値である。(A)統計力学計算の近似、および
(B)ソフトモードの換算質量への酸素原子の寄与(実験的に未定)を変えて数値計算
を行った結果を述べる。
- 連絡先: 武貞 正樹 (内線 4418)
物理コロキウム世話人 奥田 浩司 (内線 3442)