TeXのスタイルファイルの総合的な解説として[["LaTeXのマクロやスタイルファイルの利用":http://optphys.sci.hokudai.ac.jp/~sekika/files/styleuse.pdf]]という文書があり、とても参考になる。
基本的にはLaTeX 2.09用のものだが、大部分はpLaTeX2eでも使えるか、少しの工夫で使えるようになる。[[1997年の時点での追加文書:http://optphys.sci.hokudai.ac.jp/~sekika/files/styusupp.pdf]]もある。以下はこれらの中でよく使う部分の抜粋に加えて、最近の情報を追加したものである。

*目次 [#fc6f5410]

#contents

*図の張り付け方 [#x020d08d]
プリアンブル部で
 \usepackage[dvips]{graphicx}
としておいて、図を張り付けたい場所で
 \includegraphics[オプション]{xxxxx.eps}
として張り付ける。オプションには
 scale=<ratio>  	拡大・縮小倍率 (縦横同率)
 width=<length> 	横幅の指定
 height=<length> 	高さの指定
 angle=<angle> 	        回転角の指定
 draft 	                図が入る枠だけ表示
 clip                   BoundingBoxでクリップする
などが指定できる。オプションを複数指定する場合はコンマで区切る。&br;
通常はfigure環境の中で使うことが多い。
 \begin{figure}
   \includegraphics{xxxx.eps}
   \label{ラベル}
   \caption{注釈}
 \end{figure}

*TeXによるPDFの作り方 [#df9172f1]

作成したdviファイルをPDF形式に変換したい時には

 dvipdfmx myfile.dvi

とする。これでdviファイルと同じディレクトリにmyfile.pdfが生成される。
通常TeXでは欧文フォントとしてコンピュータモダンフォントというフォントが使用されるが、
これはビットマップフォントであるので、PDFにしたときにギザギザになって見栄えが悪い。
これを避けるためには、LaTeXソースのプリアンブル部で

 \usepackage{txfonts}

としておくと、スケーラブルフォントが使われるようになるので、綺麗なPDFを作成することができる。同様なものににpxfontsというのもある。&br;
注)最近の角藤版TeX for WindowsではcmフォントでもきれいにPDFに変換できるようになっている。
*TeXによるスライドの作り方 [#zc0e41ae]

documentclassにprosperを選ぶと、綺麗なスライドを作成することができる。ただしprosperクラスは
dvi中に\special命令でPostscriptを直接記述しているため、作成したdviファイルはxdviやdvioutでは
表示することができず、dvipsでpsファイルに変換してからプレビューする必要がある。
pstrickに関する知識があれば、スタイルを自作することも可能。
詳細は[[こちら:http://optphys.sci.hokudai.ac.jp/~sekika/TeX-prosper.html]]を参照。
*図を文章で囲む [#nf2e9cb6]

プリアンブルで

 \usepackage{wrapfig}

としておいて、文章中で、

 \begin{wrapfigure}{r}{5cm}
 \includegraphics[オプション]{画像ファイル名}
 \label{ラベル}
 \caption{注釈}
 \end{wrapfigure}

のようにする。ラベルと注釈はなくてもよい。wrapfigure環境のオプションは

 \begin{wrapfigure}[図の横の文章の段数]{図のポジション}[上下のオフセット]{図の横幅}

である。図の横の文章の段数と上下のオフセットは省略可で、省略すると段数は自動で計算され、
オフセットは0になる。

*2つの図を並べて表示する [#d9caedc0]

figureフロートの中でminipageを2つ使えばよい。

 \begin{figure}
 \begin{minipage}[t]{.47\textwidth}
   \includegraphics{入れたい図1}
   \caption{注釈1}
 \end{minipage}
 \hfill
 \begin{minipage}[t]{.47\textwidth}
    \includegraphics{入れたい図2}
    \caption{注釈2}
    \end{minipage}
 \end{figure}

*図や表を文章の最後にまとめる。 [#wb767b58]

 endfloat.sty

を使う
*数式番号や表番号の形式を変更する [#m0567cea]

LaTeXにおいて、数式番号や章番号などの出力コマンドは\the+名前という形式をとっている。
例えば数式番号の出力コマンドは\theequationであり、章番号の出力コマンドは\thesectionというように
なっている。
従ってこれらの出力形式を変更したければ、\renewcommandを用いて、これらのコマンドを書き換えて
しまえばよい。例えば、数式番号を"章番号+章ごとの数式番号"としたければ

 \makeatletter
 \renewcommand{\theequation}{\thesection.\arabic{equation}}
 \@addtoreset{equation}{section}
 \makeatother

とすればよい。2行目は、章が変わるときに数式番号をリセットするためのものである。

*citationの形式を変更する [#f34d7c20]

citationの形式はスタイルファイル毎に定義されていて、標準では

 \def\@cite#1#2{[{#1\if@tempswa , #2\fi}]}

と定義されている。これを例えば、円括弧付きで上付きにしたい場合は

 \def\@cite#1#2{$^{\mbox{\scriptsize{#1\if@tempswa , #2\fi})}}$}

と再定義すればよい。
スタイルファイルでやるには、[[cite.sty:http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/kumazawa/tex/cite.html]]あるいは[[natbib:http://keizai.xrea.jp/latex/bib/bib04.html]]というものがある。
*多段組にする [#j57b9551]

文章全体を2段組にするにはtwocolumnオプションをつければよい。また、ページ単位で1段組と2段組を
切り替えたい場合は\onecolumnコマンドや\twocolumnコマンドを使うことができる。3段組以上にしたい
場合や、文章の一部分だけを2段組にしたい場合には、multicol.styを使う。
multicol.styを使いたいときは、プリアンブルで

 \usepackage{multicol}

としておいて、多段組にしたい部分で

 \begin{multicols}{n}
 ......
 ......
 ......
 \end{multicols}

とする。nは段数。

*ヘッダやフッタを変える [#ed2c5623]

プリアンブルで

 \pagestyle{myheadings}
 \markboth{偶数ページヘッダ}{奇数ページヘッダ}

とする。このときへッダは\thesectionなどのTeXコマンドを含んでいてもよい。
奇数ページのみを変更したい場合は\markbothの代わりに\markrightを使う。

*ハイフネーションを禁止する。 [#s4c8874a]

ハイフネーションのペナルティーを大きくすればよい。

 \hyphenpenalty=10000\relax
 \exhyphenpenalty=10000\relax
 \sloppy

左右揃えにする場合はraggedright環境を使う。

*ルビをふる方法 [#md7b5ff0]

 nruby.sty
 furikana.sty

*複数行にまたがったアンダーラインを引く [#dbedce93]

 ulem.sty

*綺麗なボックスを書く [#w8151ba3]

 fancybox.sty

*複数ページにまたがった表を書く [#gc0a5227]

 supertabular.sty
 longtable.sty

*一時的にソースの一部をコメントアウトする [#fd11eb63]

 comment.sty

*表の中で斜線を使う [#m7a18eac]

 slashbox.sty

*化学式や化学反応式を書く [#zb9c4f95]

mhchem.styを使う

プリアンブルで
 \usepackage[version=3]{mhchem}
 \makeatletter
 \newcommand{\reaction@}[1]{\begin{equation}\ce{#1}\end{equation}}
 \newcommand{\reaction@nonumber}[1]{\begin{equation*}\ce{#1}\end{equation*}}
 \newcommand{\reaction}{\@ifstar{\reaction@nonumber}{\reaction@}}
 \makeatother
としておけば
 \ce{H2O}
あるいは
 \reaction*{2H2O <-> H3O+ + OH-}
などと書ける。

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#comment


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