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国際学会体験談(山家椋太さん@統計物理学研究室)

自己紹介と会議概要

 統計物理学研究室修士1年の山家椋太です。私は2019年9月23日から9月28日にかけて日本の岡山県で開催されたSCES2019(International Conference on Strongly Correlated Electron System 2019)に参加しました。SCES2019は物性物理学の強相関電子系という分野に関する会議です。強相関電子系では固体中の複数の電子が複雑に絡み合うことで生じる特異な現象を対象としており、磁性、超伝導、トポロジカル物質など幅広いトピックを扱います。古くから研究されている物質に関する発表もあれば、最近流行っている機械学習を用いた発表もあり刺激に満ちた会議でした。

発表概要と感想

 私は遷移金属酸化物における磁気秩序の起源についてポスター発表をしました。磁気秩序といえば、強磁性秩序や反強磁性秩序が有名ですが、より複雑な構造を持つ多重Q磁気秩序についての研究をしています。多重Q磁気秩序の持つ複雑な構造は、しばしば異常な量子伝導現象を創発するため近年注目を集めています。今回我々が注目したのは、空間反転対称性を有する遷移金属酸化物SrFeO3において実験で観測された多重Q磁気秩序です。空間反転対称性を持つ遷移金属酸化物に対する多重Q磁気秩序の発現機構は未解明であったため、新たな発現機構を提案したという内容でした。  この研究は卒業研究を発展させたもので、発表をした9月には既に論文が概ね出来上がっているという状況でした。今回の発表では、多重Q磁気秩序の実験の第一人者やSrFeO3の実験をしている方にも質問をしていただき、論文を読んでいただきたい方達の反応を出版前に見れたのは良い経験でした。また、異なるトピックを扱っている方からも、素朴かつ鋭い質問を多くいただきました。研究テーマに精通している方とそうでない方の両方からの質問に対応したことで、論文もより良いものになったと思います。

国際会議を体験して

 日本物理学会ではあまり見ないテーマを複数見かけたことで、国による流行の違いを感じました。自分の視野を狭めないためにも、国内学会だけで情報収集するのではなく、日々論文を読むことの大切さを再認識できました。また、日本物理学会では禁止されている発表資料の撮影が自由に行われていたことに驚きました。そのため、国際学会に参加する場合にはある程度論文を仕上げておくという、国内学会よりも入念な準備の必要性を感じました。

後輩へのメッセージ

 英語が苦手でもなんとかなったので、機会があればとりあえず参加してみるのが良いと思います。つたない英語でも相手は話を聞いてくれました。また質問が聞き取れないときも、筆談での対応をしてくれました。それでも心配な方は、国際学会のポスター会場で提供されるビールの力を利用すればなんとかなると思います。

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