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国際学会体験談(澤田賢志さん@低次元マテリアル電子物性研究室)
会議名 : ISCOM2019 (International Symposium on Crystalline Organic Metals, Magnets and Superconductors)
開催国、都市 : ポルトガル トマール
開催期間 : 2019年9月22日~2019年9月27日

会議の概要

この会議は有機分子性結晶に関わる研究者が集う最も大きな国際学会の一つで、隔年で開催されています。前回の2017年の会議では宮城県の蔵王で開催され、度々日本での開催もされています。今回はポルトガルの首都リスボンから列車で2時間ほどのところにあるトマールという小さな町で開催され、多くの日本人研究者を含む数百人の研究者が集まり活発な議論が行われました。

発表内容

今回の会議では、博士課程で行っている研究であるλ型有機伝導体の圧力下NMR測定の結果をポスターで発表しました。

町の雰囲気など

トマールは小さな町ですが、白を基調とした建物の外壁と、きれいに敷き詰められた石畳がとてもよく調和していて、大変綺麗な街並みでした。お昼ごろになると町の住人がおもむろに外へ出てきて、テラスで家族や友人と談笑しながらお酒を嗜んでいました。驚くことに、学会会場のホテルでも昼食休憩の際に赤ワインが提供されます。午後のセッションが残っていることはお構いなしに、私もランチタイムに数杯のワインを頂きました。お昼からお酒を飲めるなんて最高ですね(笑)。

学会の様子

私にとってこの学会は2回目の参加となりますが、今回も日本で開催された時と変わった様子はなく活発に発表や質疑応答が行われていました。今回少し残念だったのは、ポスター発表の時間が少なく、多くの研究者と議論を交わす時間が足りなかったことです。それでも、数人の日本人研究者と外国人研究者に発表の内容を聞いていただき、アドバイスを頂くことができました。口頭発表の最終日の晩には、少し大きめの会場に参加者一同が集い、フルコースの料理が振る舞われました。そこで、ポルトガルの伝統的な歌謡曲である、「ファド」の生演奏を聴くことができました。ギターを持ったファドの歌手が出てきて会場は大いに盛り上がり、参加者の若いポルトガルの女性たちも一緒に口ずさんでいました。ファドはポルトガル人の生活の苦労など、哀愁をギターに乗せて歌ったことがルーツとなっており、普段は陽気なイメージがあるラテン系の人々の新たな文化的側面を見られた感じがします。

語学について

国際学会で発表を行う際、英語は勿論できた方が良いのですが、相手もこちらが英語に不得手であることは承知の上なので、多少英語がたどたどしくてもまったく意思疎通ができないということはありません。ですので、語学力がどうこうよりも、積極的に意思疎通を試みる姿勢が大事だと感じました。

後輩へのメッセージ

国際学会へ参加することは、母国語が使えない状況でのコミュニケーションの鍛錬や異文化に触れることができるという大きなメリットがあります。実際、リスボンの空港に着いてから会場のあるトマールまで行く間に、列車や地下鉄の切符の買い方、観光地への行き方など、現地の人々の助けを借りなければなりませんでした。それもまた、海外でしか得られない貴重な経験です。また、行く国によって人々の気質が違い、それによって生活スタイルや食文化等も変わるのはもちろんですが、研究に対する取り組み方やアイデアの着想の仕方など異なる点が見えてくるかもしれません。「他」を知ることは「自分」を知るきっかけになるので、機会があればぜひ行ってほしいと思います。
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