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国際学会体験談(水田崇聖さん@固体電子物性研究室)
2018 年8 月19 日から24 日にかけて、北京で開催された国際会議M2S-2018 に参加しました。 M2S は超伝導に関する最も大きな会議のひとつです。超伝導は、ある温度Tc 以下で物質の電気抵抗が消失する現象として知られており、 今日では、超伝導を示す物質は単体だけでなく様々な化合物の中にも見出されています。 中でも、30 K を上回ることはないと考えられていたTc の記録を次々と塗り替えることとなった銅酸化物高温超伝導体の発見は、20 世紀の科学界における最も偉大な業績のひとつと目されてきました。 M2S は、銅酸化物高温超伝導体の発見を契機として1989年に始まって以来3 年ごとに開催されています。 第12 回会議に当たるM2S-2018 へは、世界の47の国と地域から1339 名が参加しました。 同会議では、プレナリーセッションに加え、私の研究対象である銅酸化物高温超伝導体のセッションも毎日開かれており、この分野における世界の最先端の研究を肌で感じることができました。

私は“STM/STS Study on Electronic Superstructures in High-Tc Cuprate Bi2Sr2CaCu2O8+x”という表題でポスター発表を行いました。 代表的な銅酸化物高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+x の表面に現れる電子系の変調構造に関する研究です。 このような変調構造にはいくつかの種類があり、それぞれが何らかの形で高温超伝導の発現機構に関与していると考えられてきました。 我々のグループでは、走査トンネル顕微鏡/分光(STM/STS)により同一の領域でこれらの変調構造を観測し、それぞれの変調構造どうしの関係について新たな知見を得たので、その成果を報告しました。

ポスターセッションでは、幸いにも多くの聴衆に恵まれ、いろいろな方と議論することができました。 私の研究は、多くの方に興味を持っていただけたようで、複数の方と後日改めてより詳細な議論を行うこともできました。 これらの議論を通じて、これまでにはなかった新たな視点が得られたほか、結果の解釈や今後の研究の方針についてより深い水準で考える機会も得られました。 また、ポスターセッションを通じて、同じ分野で研究に取り組む同年代の学生と知り合い、話をすることもできました。 M2S-2018 に参加することで得られたこれらの経験は、その後の研究に取り組む上での糧となっています。

国際会議へ参加することの魅力のひとつは、世界の最先端の研究にじかに触れることや、同じ分野の研究者と議論を深めることを通じて、多くの刺激が得られることであると考えています。 また、見知らぬ土地を訪れることで視野が広がり、ものの見方や考え方が変容することもあるでしょう。 もちろん、勝手のわからないことにも幾度となく遭遇しましたが、親切な現地の方々にたびたび助けられ、そのありがたさが身に染みたものです。 こうした経験ができるのも、国際会議へ参加することの面白さのひとつではないでしょうか。 今後、ますます多くの後輩諸氏が積極的に国際会議へ参加され、その中で価値のある経験を積まれることを期待しつつ擱筆いたします。
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