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国際学会体験談(伊藤蓮さん@量子物性物理学研究室)
PASPS10(10th International School and Conferenceon Physics and Applications of Spin Phenomena in Solids) は磁性体や半導体のスピン物性に関連するテーマを扱った国際会議で、基礎物性からデバイスへの応用まで幅広いジャンルを網羅している国際会議です(開催国:オーストリア、開催期間:2018年8月5日~9日)。 その中で私はワイル半金属をテーマとして発表を行いました。 ワイル半金属は近年注目を浴びているトポロジカル物質の一つで、フェルミアークと呼ばれる特異な表面状態が現れます。 2011 年にBurkov やBalents らによって考えられた理論モデルを用いてこのフェルミアークを我々が数値的に計算したという内容でした。

海外にも全然行ったことのない私でしたが、指導教官の近藤憲治先生にこの国際会議への参加を勧めていただき、初めて一人で海外に行くこととなりました(指導教官とは現地で落ち合うことにしていました)。 バンコクで飛行機の乗り継ぎを行い、オーストリアまでおよそ半日かけて行きました。 バンコクの空港はとても広く、乗り継ぎが問題なく行えるか当初は不安でしたが、なんとか無事にウィーン空港に到着した際には本当にほっとしました。

国際会議が開催されるのはそこから特急列車で1 時間半ほどいったところにあるリンツという都市でしたので、空港から特急列車に乗って移動することにしていました。 日本のように自動改札機は備え付けておらず、駅のホームへの入り口の横に小さな箱のようなものに切符を入れて刻印してホームへ入場することには驚きました。 リンツ駅に到着した後にホテルまでの道を尋ねようと街中の人に声をかけたところ、英語がなかなか通じずにドイツ語を調べながら道を尋ねたりしたので大変苦労したことも印象的でした。

街を歩いているとヨーロッパ特有のレンガ造りの建物が多く、音楽家ブルックナーにゆかりのある教会や城跡が残されているなど古くからの伝統的な建物が目立つことに気づきました。 一方で、最新の科学技術を扱っているアルス・エレクトロニカセンターという近代的な博物館なども混在していて日本ではなかなか味わえない非常に独特な雰囲気でした。 また、日本のレストランでは基本的に水が無料で出てきますが、オーストリアでは水を注文しなければならず、食事と一緒にボトルに入ったミネラルウォーターが出てきたことも文化の違いを感じた場面でした。

私の発表はオーストリアに到着した次の日でした。時差ボケが懸念されていましたが、幸いにもその影響はほとんどありませんでした。 卒業研究発表や国内で行われた国際会議など英語で発表することは今までに何度か経験済みでしたが、聴衆の大多数が日本人ではないという状況は初めてだったので大変緊張しましたし、 英語できちんと受け答えができるか心配でしたが、自分の拙い英語でも参加者は真剣に聞いてくれて何人かには興味を持っていただいたようでしたので発表を行えて本当に良かったと思いました。

ただ、発表原稿のようなあらかじめ話すべき内容を考えていた部分は比較的流暢に話すことができたのですが、 質問に答える際に自分が伝えたい英語が即座に出てこなかった部分が多く見受けられましたので英語を話す訓練をこれからはもう少し行わなければいけないと痛感しました。

会議の合間の休憩時間には参加者の方々と積極的にコミュニケーションを図りました。 オーストリア人、ギリシャ人、ポーランド人、ブラジル人、インド人、中国人など様々な国から来た参加者と英語で話すことができたので非常に良い経験になったと思います。

ゴジラシリーズやアニメ、寿司など日本の文化に触れたことがある人も多かったことはとても印象的でした。多くの欧米人は日本人が日常的に寿司を食べているものだと誤解していたことには驚きました。 少なくとも私のような貧乏人には寿司は高級料理でしたので・・・。

今回ヨーロッパで行われた国際会議に参加して、他にもここには書ききれなかった様々な経験をすることができました。 最初はヨーロッパに一人で向かう不安が大きく、国際会議に参加するかどうか迷っていましたが、自分の価値観が広がりましたし、本当に良い経験になったので行って良かったと心から思います。 ぜひ後輩の皆さんも機会があれば積極的に海外での国際会議に参加してみてはいかがでしょうか。 きっと自分の中の価値観が広がり、これからの人生において有意義な時を過ごせることと思います!(そのためにも研究頑張りましょう!)
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