TeXのスタイルファイルの総合的な解説として"LaTeXのマクロやスタイルファイルの利用"という文書があり、とても参考になる。 基本的にはLaTeX 2.09用のものだが、大部分はpLaTeX2eでも使えるか、少しの工夫で使えるようになる。1997年の時点での追加文書もある。以下はこれらの中でよく使う部分の抜粋に加えて、最近の情報を追加したものである。

目次

図の張り付け方

プリアンブル部で

\usepackage[dvips]{graphicx}

としておいて、図を張り付けたい場所で

\includegraphics[オプション]{xxxxx.eps}

として張り付ける。オプションには

scale=<ratio>  	拡大・縮小倍率 (縦横同率)
width=<length> 	横幅の指定
height=<length> 	高さの指定
angle=<angle> 	        回転角の指定
draft 	                図が入る枠だけ表示
clip                   BoundingBoxでクリップする

などが指定できる。オプションを複数指定する場合はコンマで区切る。
通常はfigure環境の中で使うことが多い。

\begin{figure}
  \includegraphics{xxxx.eps}
  \label{ラベル}
  \caption{注釈}
\end{figure}

TeXによるPDFの作り方

作成したdviファイルをPDF形式に変換したい時には

dvipdfmx myfile.dvi

とする。これでdviファイルと同じディレクトリにmyfile.pdfが生成される。 通常TeXでは欧文フォントとしてコンピュータモダンフォントというフォントが使用されるが、 これはビットマップフォントであるので、PDFにしたときにギザギザになって見栄えが悪い。 これを避けるためには、LaTeXソースのプリアンブル部で

\usepackage{txfonts}

としておくと、スケーラブルフォントが使われるようになるので、綺麗なPDFを作成することができる。同様なものににpxfontsというのもある。
注)最近の角藤版TeX for WindowsではcmフォントでもきれいにPDFに変換できるようになっている。

TeXによるスライドの作り方

documentclassにprosperを選ぶと、綺麗なスライドを作成することができる。ただしprosperクラスは dvi中に\special命令でPostscriptを直接記述しているため、作成したdviファイルはxdviやdvioutでは 表示することができず、dvipsでpsファイルに変換してからプレビューする必要がある。 pstrickに関する知識があれば、スタイルを自作することも可能。 詳細はこちらを参照。

図を文章で囲む

プリアンブルで

\usepackage{wrapfig}

としておいて、文章中で、

\begin{wrapfigure}{r}{5cm}
\includegraphics[オプション]{画像ファイル名}
\label{ラベル}
\caption{注釈}
\end{wrapfigure}

のようにする。ラベルと注釈はなくてもよい。wrapfigure環境のオプションは

\begin{wrapfigure}[図の横の文章の段数]{図のポジション}[上下のオフセット]{図の横幅}

である。図の横の文章の段数と上下のオフセットは省略可で、省略すると段数は自動で計算され、 オフセットは0になる。

2つの図を並べて表示する

figureフロートの中でminipageを2つ使えばよい。

\begin{figure}
\begin{minipage}[t]{.47\textwidth}
  \includegraphics{入れたい図1}
  \caption{注釈1}
\end{minipage}
\hfill
\begin{minipage}[t]{.47\textwidth}
   \includegraphics{入れたい図2}
   \caption{注釈2}
   \end{minipage}
\end{figure}

図や表を文章の最後にまとめる。

endfloat.sty

を使う

数式番号や表番号の形式を変更する

LaTeXにおいて、数式番号や章番号などの出力コマンドは\the+名前という形式をとっている。 例えば数式番号の出力コマンドは\theequationであり、章番号の出力コマンドは\thesectionというように なっている。 従ってこれらの出力形式を変更したければ、\renewcommandを用いて、これらのコマンドを書き換えて しまえばよい。例えば、数式番号を"章番号+章ごとの数式番号"としたければ

\makeatletter
\renewcommand{\theequation}{\thesection.\arabic{equation}}
\@addtoreset{equation}{section}
\makeatother

とすればよい。2行目は、章が変わるときに数式番号をリセットするためのものである。

citationの形式を変更する

citationの形式はスタイルファイル毎に定義されていて、標準では

\def\@cite#1#2{[{#1\if@tempswa , #2\fi}]}

と定義されている。これを例えば、円括弧付きで上付きにしたい場合は

\def\@cite#1#2{$^{\mbox{\scriptsize{#1\if@tempswa , #2\fi})}}$}

と再定義すればよい。 スタイルファイルでやるには、cite.styあるいはnatbibというものがある。

多段組にする

文章全体を2段組にするにはtwocolumnオプションをつければよい。また、ページ単位で1段組と2段組を 切り替えたい場合は\onecolumnコマンドや\twocolumnコマンドを使うことができる。3段組以上にしたい 場合や、文章の一部分だけを2段組にしたい場合には、multicol.styを使う。 multicol.styを使いたいときは、プリアンブルで

\usepackage{multicol}

としておいて、多段組にしたい部分で

\begin{multicols}{n}
......
......
......
\end{multicols}

とする。nは段数。

ヘッダやフッタを変える

プリアンブルで

\pagestyle{myheadings}
\markboth{偶数ページヘッダ}{奇数ページヘッダ}

とする。このときへッダは\thesectionなどのTeXコマンドを含んでいてもよい。 奇数ページのみを変更したい場合は\markbothの代わりに\markrightを使う。

ハイフネーションを禁止する。

ハイフネーションのペナルティーを大きくすればよい。

\hyphenpenalty=10000\relax
\exhyphenpenalty=10000\relax
\sloppy

左右揃えにする場合はraggedright環境を使う。

ルビをふる方法

nruby.sty
furikana.sty

複数行にまたがったアンダーラインを引く

ulem.sty

綺麗なボックスを書く

fancybox.sty

複数ページにまたがった表を書く

supertabular.sty
longtable.sty

一時的にソースの一部をコメントアウトする

comment.sty

表の中で斜線を使う

slashbox.sty

化学式や化学反応式を書く

mhchem.styを使う

プリアンブルで

\usepackage[version=3]{mhchem}
\makeatletter
\newcommand{\reaction@}[1]{\begin{equation}\ce{#1}\end{equation}}
\newcommand{\reaction@nonumber}[1]{\begin{equation*}\ce{#1}\end{equation*}}
\newcommand{\reaction}{\@ifstar{\reaction@nonumber}{\reaction@}}
\makeatother

としておけば

\ce{H2O}

あるいは

\reaction*{2H2O <-> H3O+ + OH-}

などと書ける。



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