About us
固体電子物性研究室は、物理が面白い結晶(Physics + Crystal = Physicrystal)を創る研究室です。
私たちの身の周りには、半導体、磁性体、誘電体、超伝導体、トポロジカル物質などの面白い物理を示す物質が溢れています。これらの物質の新規開拓と物性研究を通して、強相関電子系の物理など新しい学理が構築されてきました。物理的な興味もさることながら、これらの物質の”機能性”は現代エレクトロニクスの構築に必要不可欠なものでもあり、新しい物質を作ることは、エレクトロニクスを発展させ社会を大きく変えてしまう可能性を秘めています。銅酸化物高温超伝導体の発見により、室温超伝導が現実味を帯び、大きな社会的ニュースとなったのは記憶に新しいところです。
地球上に存在する元素は周期表に納められた110個程度しかありません。しかし、それらをどう組み合わせるか、どのような結晶構造を舞台とするかによって、得られる化合物は無限にあるといっても過言ではありません。私たちの研究室では、遷移金属(3-5d電子)、希土類(4f電子)、アクチノイド(5f電子)化合物を主な対象とし、化学的な手法を用いて新しい物質の合成や単結晶の育成を行います。また、得られた物質の性質を基礎的なバルク物性測定や、強磁場磁化測定、NMR、µSR、中性子、共鳴X線散乱実験により明らかにし、新しい磁性現象や高温超伝導、多極子物性およびそれに基づく交差相関応答の開拓を目指します。
結晶の物理学を探る面白さは広く認識され、物性計測を行う多くの研究室が存在します。我々の研究室の特徴は、物理が面白い結晶を作り出すことに重点を置いている点にあります。物理と化学を用いて物質を科学する事で、新しい発見と隣り合わせの臨場感を抱きながら研究を行っています。
当研究室には現在2名のスタッフと11名の学生が所属し、議論を重ねながら協力して新物質の開発を進めています。研究室に所属した学生には、物質合成に必要な知識と技術を丁寧に伝授します。実験器具の扱い方やガラス細工の仕方、固相法・イオン交換などのトポタクティック法・水熱を含むソルボサーマル法・高温高圧合成法・アーク法などの種々の合成法、化学反応論、状態図の見方、結晶学や化学結合論の基礎などがそれに該当します。これらを学ぶことで、酸化物、酸水酸化物、塩化物、金属間化合物など、無機物質の大半を合成できるようになります。
このような技術を身につけて、何を作るのか?最初期にはテーマを割り振りますが、慣れてくれば興味の趣くままに物質開発を行うことが可能です。自分自身の中から湧き起こってくる疑問や興味、アイデアを物質として形にし、物理学の新しい知見を積み重ねていって欲しいと思います。新しい物質を生み出すダイナミズムを是非一緒に楽しみましょう。
*当研究室では、学術振興会特別研究員(PD)を募集しています。興味のある方はスタッフまで連絡をください。