自然科学とは、再現可能な実験や観測に基づき自然界を“知る”ことです。 ここで言う“知る”こととは、現象がなぜ起こっているのかを追求することです。 この理由付けの基本となるのが、自然界の普遍的な法則や原理です。物理学は、自然界のすべてのものが従う普遍的な法則や 原理を追求する学問です。量子論の発見以来、現代物理学は科学技術に対しても大きな影響をおよぼしています。物理学を学ぶことは、すべて の科学技術を根本から理解することにつながり、どのような科学技術の変化にも柔軟に対応していく素養を身につけることにつながるのです。 学生は量子力学や相対性理論から、宇宙や素粒子などを研究すると共に、半導体や超伝導の理解や、物理実験を通じて、工学的な技術を学ぶこ とができます。社会において物理学科卒業生に対して多くの需要がある1つの理由がここにあります。

 北大理学部物理学科では、物理学におけるグローバルな最先端の研究をすると共に、学部から大学院学生にいたる教育を重視しています。こ のために、海外の最先端の教育技術を導入しています。北大の初等物理教育のために、物理学科では能動的学習のためのリモコン“クリッ カー”を日本の高等教育機関で初めて導入しました。その後このクリッカーは、その有効性が認められ、現在では海外同様、日本の大学でも広 く普及してきています。また、海外ではほとんどの大学で行われている大学院インストラクター(Graduate Student Instructor, GSI)の制度 を、日本の理系大学として初めて取り入れています。GSIによる演習授業では、大学院生と学部学生の親密なコミュニケーションにより、将来の リーダーとなる人材の育成に努めています。学部学生にとっては気軽に質問できる利点があります。また、大学院生にとってはGSIとして教える ことにより、自ら演習授業を企画し、説明能力を高める機会となるのです。その上、GSIでの給料により大学院での経済的負担が軽減されていま す。このように、北大物理学科では、物理研究や教育研究を通じて全人教育に取り組み、開拓者精神を持つ学生の育成に努力しています。