物理学科概要・沿革


 ■物理学科概要


 物理学は自然界の物すべてが従う普遍的な法則や原理に関する学問であ
 り、科学の根幹をなすと共に 技術や自然認識の基礎となっている。その為、
 現代社会全般に物理学は計り知れないほど大きい影響を及ぼしている。な
 かでも、現代物理学の影響は驚異的である。現代物理学は20世紀、相対論
 と量子論の始まりと共に開始し、様々な発見や応用を経て飛躍的な進歩をと
 げ今日に至っている。量子論を適用するミクロな世界ではそれまでの常識が
 通じない事がわかった。古典物理で光は波であり電子は粒子であるが、ミク
 ロな世界では逆に光は粒子的性質を持ち電子は波として振る舞う。しかし、
 一方で力学や電磁気学の、力、運動方程式や電荷や電流、電場や磁場等の
 考えは現代物理学でも生きている。古典物理学は力学、電磁気学、熱学、統
 計力学を柱とし、これらの基礎の上に現代物理学が築かれている。
 
 最近の電子機器やインターネットの発展は驚くほどであり、10年間で我々の生活は大きく変わった。これらの発展は科学技術の
 進展によるものであるが、その基礎には言うまでもなく物理学が大きく関わっている。長い間に積み上げられた基礎学問の成果
 があって初めて急速な技術の発展が可能である。

 例えば、物体の電荷が電子の電荷の整数倍の不連続の値をとる ことが分かったのは1909年であり、電子が存在することが分
 かったのはさらに遡る1897年である。しかし、電子を自由に操られるようになったのはまだ最近のことである。物理学科の研究
 は、極微な世界の素粒子や原子核から 金属、半導体、誘電体、や宇宙までのすべてのスケールに及んでいる。これら多彩な対
 象が共通の普遍的な概念で理解出来ることも多い。例えば、水が約摂氏零度で氷に変化する”相転移”は わずかな変化が引金
 で大きな変化が生ずる自然現象であり、物理学研究の格好の材料となっている。同様なことは他の素粒子、宇宙や様々な物質
 科学で頻繁におきることであり、多様でありながらかつ普遍性を持つ面白いテーマである。物理学科では、これらの多くが研究さ
 れている。
 物理学科では、物理的なものの考え方や方法を 物理の基礎知識や技術と併せて確実に修得させる教育が行われている。 3年
 次までは、物理学の体系の中で基本となっている、力学、電磁気学、熱力学、量子力学、統計力学、及び物理数学の大半を修得
 する。また、3年次には物理学実験も加わり、基礎科目の深い理解と実験技術の修得を目指す。 4年次では 各研究室に分属し
 て卒業研究を行い第一線の研究に触れる。 大学院では現代物理学の専門科目の基礎を身につける事から始め、徐々に新たな
 テーマに関する本格的な研究に移ってゆく。 新たな研究成果は論文となって公表される。

 ■物理学科沿革
昭和5年  ◆理学部設置
 ◆数学科、物理学科、化学科、地質学鉱物学科、植物学科及び動物学科の6学科設置
昭和28年  ◆大学院理学研究科設置
 ◆数学、物理学、化学、地質学鉱物学、植物学及び動物学の6専攻(博士課程・修士課程)設置
昭和40年  ◆極低温液化センタ−設置
昭和55年  ◆理学部創立50周年記念式典を挙行
昭和63年  ◆量子干渉方式広温度領域磁化測定研究室設置
平成6年  ◆物理学専攻を再編成し、新たに科学史・科学基礎論分野を加え物理学専攻設置
 ◆量子物理学、 電子物性物理学、凝縮系物理学及び非線形物理学の4大講座と
   量子物性物理学(電子科学研究所)、相転移物性物理学(電子科学研究所)の
   2協力講座設置
 ◆物理学科を再編成し、新たに物理学科設置、学科目「物理学」設置
平成7年  ◆ 5専攻すべてが大学院重点化されたことにより、理学研究科が部局化される