「野村研ってネコ飼ってるんだって」
「へえ、ほんと?」


野村研の花形。それが時と場合を問わず現れる猫達。
一番の古株は1993年前に現れたカブ。

カブ 彼がカブ。名前の由来は「兜をかぶっているみたいだから」だそうだ。

彼はたいへんひとなつっこく、部屋の中に入りたがる。(たんに寒がりなだけかも知れない。なんでも、ストーブの前にいすわっていたそうだから)
→カブの写真集

彼には去年の暮れ、「カブもどき(後述)」というライバルにより、野村研あたりから追い出されてしまい、教食2階のBOXに避難していたのだが、年末・年始にBOXは閉鎖されてしまう。以来、彼を見かけたものはいない。かく言う私も見たときはない。

「彼はだいぶん年だったから、人知れず生涯を終えているかも知れない」(飼育係=市村先生・談)

スミレカブの半年後に現れたのがトラ猫のスミレ(右)。
名前の由来はトラ猫だからってことで寅さんを連想し、でも雌だからってことで寅さんの妹のさくらを連想したんだが、液化センターに「さくら」という方がいるから、猫の名前にすると、さくらさんを呼び捨てにするみたいで悪い。そこで、どうせなら花の名前にしよう、と「スミレ」になってのだそうだ。いい名前だ。

彼女は人見知りをするが、エサは誰にでもねだる。ゼミをやってるときも構わず、大声で人を呼ぶ。餌をやると、アグアグなにか言いながらむさぼり食う。その様はなんとなく笑いを誘う。
窓の桟の所であたりに注意を払っていることも多い。機嫌のいいときは触らせてくれるが、なんとなく腰がひけたかっこうをしている。

人間がひとりしかいないときは部屋の中に入ってくることもあるが、岩崎氏の机の上に足跡をつけて去っていくので、はっきりいって迷惑である。

現在、野村研で世話しているといっていいのは彼女である。
石川氏の意見だと、これは「堕落」なんだそうだ。
しかし、市村先生の説では「だいぶ前から来るようになったけど、子猫を連れてきたことはないから、もとは飼い猫で避妊してあるんじゃないか」ということである。

さて、去年現れたのがカブもどきである。
彼はカブによく似ているが、鼻のあたりの模様がちがう。カブをいじめるので、野村研の餌場には「しばらくカブもどきには餌をやらないこと」と書いてある。しかし、そういう努力のかいもむなしく、カブは追い払われてしまった。
かくいう彼も「スミレもどき」の登場により、野村研にあまりこられなくなった。

さて、件のスミレもどきだが、彼はスミレと仲のよい、スミレに似た雄猫である。スミレよりも白っぽく、美しい毛並みである。

彼はカブもどきと縄張りを争い、勝利したようだ。なんでも、カブもどきは喧嘩は強いそうだが最近、かなり痩せていたそうだ。ということは、スミレもどきの方が要領がよく、餌をゲットするのがうまいのかも知れない。

スミレはときどき彼をつれてやってくる。なかなか微笑ましい。

彼は、人間に頼る猫を増やしたくないという市村先生の英才教育を受け、市村先生の手を噛みつくという優秀な成績を残している。かくて、彼は人間をみると逃げ出す。餌をくっているときにそっと窓越しに近づいた僕に気づいたときの彼の顔といったらなかった。


さて、5月中旬、野村研には猫の勢力圏に異変が起きた。
原因はとうとうカブをあきらめた市村先生が「カブもどき」を北大一強い猫にしようと決心したせいである。
かくして、カブもどきはやっと市民権を得、餌にありついている。
彼はかなり厚かましい。声も良いとは言えない。餌をやると、他のことは見向きもせずにがっつく。
最初の頃こそ警戒していたのだが、このごろは1番触らせてくれるようになった。

さて、かくのごとくカブもどきが地位を確立したので、ちゃんとした名前をつけてやろう、という意見が出たのだが・・・いい名前がない。
公募までしてたんだが、名前が決まらないうちに彼はやってこなくなってしまった。五味さんが悲しむ事しきりである。


カブもどきが来なくなった理由の一つはでっかい虎猫が来るようになったせいなのかもしれない。

あまりにひとなつっこいので飼い猫と思われる。

鳴き声はか細いのだが、最初から研究室に入ってきて餌の袋をいじってるわ、勝手にマタタビ齧ってるわ、よく考えたらやりたいほうだいである。そのうえ、よだれをたらしまくっているし。その様子とカブもどきを追い出された恨みか五味さんが「病気持ち」と命名していた。

彼は他の猫を追い払ってしまうし、飼い猫らしいので餌をやってはいけない事になっている。


カブもどきが来なくなり、「病気持ち」も姿を見せなくなって以来、野村研の餌場はしばらくスミレが独占していたのだが、今度は小柄な黒猫が現れ、あろうことか、スミレがねぐらにしていた壊れた冷蔵庫を占領してしまった。

この黒猫は現れるようになってから間もなくして筆者が「沙夜(さや)」と名付けた。
沙夜は黒猫なのだが、胸のところにツキノワグマのように白いポイントが入っている。で、とっさに「ツキノワグマ」という名前にしてやろうかと思ったのだが、さすがにこれは気の毒だと思って「小さい夜」の意味で「小夜」にしていたのだが、岩崎さんが「沙」の字の方がいいと言い出して「沙夜」になった。
二ッ山氏は気に食わなかったらしいが、決めた。が、いまいち定着していない。

沙夜は手を出すと頭突きしにくる。ミューミュー鳴いて頭突きする様子が可愛らしくてしかたがない。

彼女のいいところは「餌をもらいに来る」というより「遊んでもらいたくて来る」という姿勢である。窓辺に近づくと「遊んで、遊んで」とせわしなく動いて勢いあまって桟から落ちちゃったりするのも御愛敬。

当初、「よわっちい」と思われていた沙夜だが、結局のところ居座りつづけている。このごろ冒険心が出てきたのか、人が近くにいなければ窓を開けているとソファまではいってくるようになった。近づくと逃げるのだが、最初からソファに座っている人は気にしないらしい。


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