水素結合性液体
研究情報
酸素がプロトンを共有する水素結合は、共有結合とファンデルワールス結合の中間的結合エネルギーを持ち、生命現象においては重要な役割を担っています。水素結合がかかわるダイナミクスの素過程を解明することは、水素結合性液体の物性を理解するだけでなく、生命現象の素過程の理解にもつながる重要な研究です。分子内に親水性部分(OH基)と疎水性部分(炭化水素鎖)を併せ持つアルコールは純粋極性液体であるにもかかわらず、誘電緩和過程が極性液体の誘電的振舞いを記述する理論(Onsager理論及びStokes-Einstein-Debye理論)では全く説明ができません。これは、分子内のOH基の偏った分布により分子間相互作用に方向性が生じるためです。私たちは、様々なアルコール系(水溶液、アルコール混合系、アルコール異性体)の誘電分光測定を行うことにより、水素結合がかかわる分子ダイナミクスの素過程解明の研究を行っています。