半導体とは

1:バンド構造
 電子は、原子の状態ではとびとびのエネルギーの値しかとることができません。しかし、これらの原子が数多く集まると、電子がとれるエネルギーの値が連続的になる領域 (許容帯)と電子がとれないエネルギーの領域 (禁止帯)が現れます。
 このような状態がバンド構造と呼ばれるものです。
1つの許容帯に対して、その領域内のエネルギーが、すべて電子によって満たされている場合 、充満帯と呼びます。また、全く電子が 存在しない場合を空帯、ある程度電子によって満たされている 場合は伝導帯と呼びます。
2:電流
 以下では、物質を電流が流れるかどうかで分類するので、ここで電流について 簡単に触れます。
 電流とは、電子が一定の方向に運動している状態です。運動しているということは、静止しているときよりもエネルギーが高くなっているということを意味しているので、電流を流すにはエネルギーを高くする必要があることがわかります。
3:導体
 どのような状況でも伝導帯が存在する物質です。
 伝導帯では、電子のエネルギーを簡単にあげられるので、電流は容易に流れます。
4:絶縁体
 空帯と充満帯だけしか存在せず、その間の禁止帯の幅が非常に広い物質です。
 充満帯の電子は、その上に大きな禁止帯があるために、エネルギーをあげることが できないので、電流は流れません。
5:半導体
 電子をエネルギーの低い方から順に入れた場合、空帯と充満帯だけしか存在せず、その間の禁止帯の幅が非常に狭い物質です。
 この物質は、低温ではこの様に絶縁体と同じ性質を持ちますが、室温程度ではその熱のエネルギーによって禁止帯を越えて電子のエネルギーが高くなることで、空帯だった領域が伝導帯となり電流が流れるようになります。このことから、半導体の抵抗値は、温度に強く依存することがわかります。半導体は、絶縁体と半導体の中間の性質を持つ物質で、抵抗値は両者の中間の値をとります。