■持田研究室の研究内容

 結晶の化学結合に関連する物理量は種々の結晶構造によって異なる値を示す。これらの物理量間の
相互関係を探索し、それを手がかりに固体の化学結合に関係した諸問題の解明を目指すことが大きな
研究テーマ。
 現在のテーマ:酸化物高温超伝導体の発現機構と結晶構造の関係
銅酸化物高温超伝導体は,結晶構造によってとりうる最大の超伝導転移温度(Tc)が異なる. この特
徴を重視して, Tcと結晶構造の相関の探索を行い,得られた相関に基づき銅酸化物高温超伝導体の発
現機構の解明を目指す研究を行っている.その結果、
(1)銅酸化物の超伝導はCuO2面において発生し, このCuO2面はペロブスカイト型部分格子の要素を
構成している.探索の結果,Tcはこの部分格子の”大きな陽イオン”(Mc)とその配位Oイオンとの結
合距離Mc -O距離と相関することを見いだした.
(2)この相関をを説明するため,銅酸化物高温超伝導体の特定の格子振動が伝導ホールと強い電子格
子相互作用をするモデルを提案.このモデルによれば,この格子振動が超伝導状態に入ると大きな変化
をしなければならない. しかし,これまで, 最適ドープの銅酸化物において, この振動モードであ
ると同定されてきたものは,期待される振る舞いをしない.そこで,この観測されているモードは別の
モードであり,問題のモードは観測されていないという予測を行った.
(3)最近,アンダードープ相のYBCOなどの銅酸化物の単結晶試料で,赤外伝導率に異常が観測された.
この異常は上記の格子振動モードがアンダードープ相の銅酸化物では観測されているとして解釈され
ることを指摘した.
 現在この振動モードは特異な振る舞いをしているので、まず、その温度変化と、ドーピングによる変
化の特徴をデータの分析によってを明らかにする事を試みている。
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