気まぐれ通信 2025年

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  • 4月 11th Annual Conference of AnalytiX [Nara/Japan] にて、
       Superconfined antiferromagnons on the two-dimensional Penrose lattice
    と題して、山本が招待講演(Keynote Speech)を行いました。

     今回はプログラム・コミッティにも誘われ、この会議もすっかり常連になって
    しまいました。早くから次は奈良と聞いて、(併設の花鳥自然に満ち溢れる
    大庭園を散歩でき、館内の能楽ホールで舞台鑑賞も有り得る)あの奈良春日野
    国際フォーラム甍をまた満喫できるのかと楽しみにしていました。しかし今回は、
    鹿も遊びにくる奈良公園奥の甍(IRAKA)ではなく、奈良県立コンベンション・
    センターとのことです。地図を頼りに訪ねてみると、大通り沿いにNHK奈良の
    建物がまず目に入り、その裏に、1階ガラス張りの上に整然と瀟洒な木組み、
    正倉院の高床式を彷彿とさせる、2階建てながら圧倒的な存在感を放つ建物が
    どーんと現れました。45人から750人まで、規模に応じて各種会議室を数多く
    有するこの施設、経験したのはうち2つ3つですが、廊下に出れば一枚板の芸術的
    化粧ベンチ、至るところに『和』が溢れていました。JR奈良駅前の日航ホテル
    会議場は安心の安定感、甍は感動そして心の洗濯、そこから徒歩30分以内の
    至近距離にさらにまたこの施設、奈良というところは一体、どれだけの(文化的)
    懐(深さ)を持っているのだろう・・・と、学問、討論、始まる前から、
    『あー、来て好かった』と、納得することしきりです。


     自らは、Advanced Materials, Sustainable Industrial Analyticsなどを寄せ集めた
    セッションの前半、オープニング・キー・トークの枠をいただき、
    『2次元準周期格子上に超閉じ込め反強磁性マグノン波動関数を発見』を、
    ノーベル化学賞、非周期タイリング、実空間と補空間、動的構造因子、
    似て非なる遍歴閉じ込め状態、・・・、入念に準備した目にも鮮やかスライドと
    ともに、アマからプロまで駆け足で網羅しました。

     『準周期格子ってどうやって描くの?』『観測対象物はあるの?』入門的質問、
    社交辞令、これらも感謝してきちっと応対しましたが、何よりセッションを
    盛り上げてくれたのは、元気一杯doctorand、Nottingham大学のMonty Clark君(写真)
    でした。ボスのMark Fromhold教授の代理で来日し、精確な磁場印加とこれに基づく
    精密物理量測定について、広範な興味と対象を想定して話していました。概して
    実験の話だったのですが、聞けば、本人は理論班として参画しているそうで、
    学位も物性理論で目指しているとのことです。道理で、私のトークに対する質問も、
    局在波動関数の駆動因子、一般性を問うもので、休憩時間にも話が弾みました。
    全体としては多彩なセッションでしたが、その前半を、専門分野は異にするも、
    巨視的・微視的、量子力学・古典(流体)力学混在するも、多くを理論屋で
    固めてくださった当局に、感謝です。

  • 3月 日本物理学会(オンライン)で 山本が研究成果を発表しました:
      講 演 題 目 
    著 者
    Superconfined antiferromagnons on the two-dimensional Penrose lattice
    山本昌司、井上天
  • 3月 ワークショップ
       カゴメフラストレート磁性研究の進展 [物性研/東大]にて、
       Specific-heat temperature profiles of kagome-lattice
          Heisenberg antiferromagnets revisited
    と題して、山本が講演を行いました。

     籠目格子反強磁性体や量子スピン液体にフォーカスする研究会ということで、
    芳醇な学問の香りを想像しつつ、楽しみに出かけました。期待通り、旧知の専門家、
    気鋭の若者、愛すべき籠目オタクが集い、フラストレイション磁性研究の現在地と
    近未来を楽しく議論し、自らの最新成果も気持ちよく喋ることができました。

     神戸大学名誉教授の太田仁先生がいらっしゃるとは想像していなかったので、
    お姿を見つけて嬉しくなり、1枚記念撮影をお願いしました。地元の
    分子フォトサイエンス研究センターには、川村光・大阪大学名誉教授を始め、
    今もフラストレイション磁性愛好家が集われているとのことです。

     研究会の後、物性研の益田隆嗣教授研究室に寄せていただきました。軽く昼食でも
    のつもりが、研究四方山話、論文指導裏技、学問離れて父親雑感にマラソン志向まで
    話が弾み、気づけば夕暮れ、楽しいひとときを過ごしました。私事ですが、益田教授と
    話し始めてすぐ、彼がその前夜大阪で、私の京都学友である京大複合原子力科学研究所
    教授・杉山正明氏(本HP内『入室案内』に写真があります)と会食していたことを聞き、
    『えっ』と驚いてしまいました。そういえば杉ちゃん(ん?)と数年前会食したとき、
    彼が主催する大きな原子炉プロジェクトに関連して、益田氏の話をしたことを思い
    出しました。帰って週末、久しぶりに杉ちゃんにメイルを書いたところ、
    『実はその翌日、退職教授記念会で物性研に足を運び、彼と私の茶話会の話を聞き、
    タイミングの妙、人のつながりに、感じ入った次第です』と、ご活躍の近況とともに
    温かい返信をいただきました。公私ともに収穫の多い物性研出張でした。

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