と題して、山本が招待講演を行いました。
昨年の大阪に引き続いて今年は名古屋、物性解析analyticsの一言で現代科学を
鷲掴みにするこの会議に、再度出席しました。招待当初はRaman spectroscopyの
sessionが組まれ、それならばと講演を引き受けましたが、プログラムは二転三転、
結局、Advances in Spectroscopy & Mass Spectrometryという、ごった煮のsessionで喋る
ことになりました。前後を、X線構造解析(というより欧州の巨大共同実験施設の紹介)、
タンパク質構造解析(というより米国の神経変性疾患に対する組織的新薬開発の現状)
に囲まれ、如何様にでも対応できるように、量子スピン液体って何?から、
ゲイジ拡張2重対称操作群の指標表まで、アマからプロまで各レヴェル、全てを
打ち返せるように準備して、出掛けました。
会場は想像通りケイアティックでしたが、座長のLauritsen教授が見識の高い
[ベンゼン環(化学式)も群(数式)も同じ学問じゃないですか、あれやこれやが一同に
会する醍醐味、それもカンファレンスの魅力じゃないですか、私は好きですよ、という]
方で、違和感無く喋ることができました。勿論私も、名古屋と札幌の桜の開花時期の
違いから入り、随所に小道具をちりばめて、聴衆の顔色を観ながら、話を進めました。
蜂の巣格子におけるLoudon-Fleury(2次摂動)Ramanスペクトルの偏光依存消失機構、
これと対比してのKitaevスピン・ボールの偏光依存解釈、これらを証明する数式延々の
スライドを5枚ほど、遊び心で車窓の景色の如く流してみました。
『みんな苦痛かもしれないけれど私は快感』と、コメントしながら。
予想以上の爆笑をいただきました。
座長ご自身もトップを切って研究を披露されたのですが、これが、およそ座長とは
思えない(時計を気にされない)ロング・トークにエンドレス・ディスカションで、
これで一気に、場の空気が緩んで(無政府化して)しまいました。私は、トーク本体は
時間厳守、しかしディスカション・タイムはこの緩い空気を満喫して回答を続けました。
激しい競合、全身武装、目を皿のようにして新ネタ探し、このような緊張感は良くも
悪くも存在せず、お祭りを楽しんで帰路につきました。
会議当局の指示で、会場設置のコンピュータにファイルをコピーして講演。
意図せずフォント、時に文字化け、が少々残念。しかし、face to faceの心地好さ
が感じられる中規模セミナ室、それが立ち見の聴衆で後方ドアが閉まらないほどの
満員御礼。専門を異にする方からいただいた質問は、物理、理論、数式に立ち入る
遥か手前、概念的なものながら、これに丁寧に応える―2次元蜂の巣格子から
Kitaev flakesを切り取って観るのはいかがでしょう、肝要は離散自由度、面白みは
PSG積表現を使ってMajorana spinon pairを視覚化、ひいてはその1つ1つを
同定できること、等々―中で、座長を始めあちこちから賛意、好意のコメント
が相次ぎ、図らずも満場一致応援団と化した会場聴衆に笑顔を返す。
Humorとwitに富み、mild personalityそのままに穏やか和やかなsession進行
をしてくださった座長、南デンマーク大学のFrants Roager Lauritsen教授
(触媒化学、質量分析)とsession終了後に。
同一sessionで共に講演。欧州の高エネルギー線源共同利用施設Extreme Light
Infrastructure (ELI ERIC)のAnna Zymakova博士(X線構造解析)と休憩時間に
エール交換。