研究内容
相互作用する多粒子系は、電子スピンが揃う磁性状態や電気抵抗が消失する超伝導状
態等の凝集状態を示し、興味ある物理現象の宝庫となっている。我々の研究室では、
この相互作用する多粒子系の理論的研究を行っている。
(1)遷移金属、ランタン族、アクチナイド族を含む合金のなかには電子相関効果が顕
著に現れる物質が多い。たとえば、準粒子の有効質量が電子の10倍ないし1000倍に
もなる合金は、重い電子系と呼ばれる。重い電子系でみられる奇妙な磁性・超伝導
の理論的研究を行っている。このテーマには、高温超伝導も重い電子系の示す奇妙
な超伝導であるとの視点から、高温超伝導発現機構の理論的研究も含む。
(2)フェルミ統計に従う3He粒子は、約3mKの極低温で超流動になる。この相は、多数
の3He粒子が同一の二粒子束縛状態に凝縮することによって生じる。しかもこの束縛
状態が内部自由度を持つため、3Heの超流動は、バーディーン・クーパー・シュリー
ファーにより解明された通常の超伝導状態とは異なる性質を示し、異方的超流動と呼
ばれている。また上記の重い電子系でも、異方的な束縛状態が実現している可能性が
大きい束縛状態の内部自由度に起因する現象の理論的研究を行っている。
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