Colloquium
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Colloquium 2004
- 題目:
インダクターコアとして用いられるフェライト材料の高度化
- 講師:
河野 健二 氏
(太陽誘電株式会社 総合研究所材料開発部)
- 日時・場所:
2004年12月2日(木曜日)16:45-17:45
(時間変更に注意!!)
物理学専攻 大学院講義室(2-211)にて
- 要旨:
スピネル型の結晶構造を有する鉄酸化物フェライト磁性材料は、インダクターのコア材と
して幅広く用いられている材料であるが、近年の電子部品の小型化、高周波化に伴い、
フェライト材料の更なる高度化が求められている。
例えば、小型化に伴い、デバイス中の残留応力の影響が顕在化し、デイバス特性を低下さ
せてしまうことが問題になっており、応力に強い材料を開発する必要がある。そこで、
我々はフェライトの透磁率が応力に対してどのような振る舞いを示すのかを把握し、これ
らの知見に基づいた材料開発を行っている。これまでの検討の結果、応力によってフェラ
イトの結晶構造が歪んでおり、応力に対する歪みの振る舞いが透磁率の振る舞いとよく一
致することなどが、放射光等を用いた実験から明らかになっている。
また、高周波領域での透磁率特性には、スヌーク限界として知られる特性限界が存在して
おり、特定の周波数以上では透磁率を得ることができず、今後求められる数百MHz〜数GHz
帯域で動作するインダクターへの応用上の課題になっている。我々は、フェライトの周波
数特性を改善するために、非磁性物質との複合化や、結晶構造が異なるフェライト材料
(六方晶フェライト)等に注目した材料の開発に取り組んでおり、これらの材料では、ス
ピネル系フェライトのスヌーク限界を越える特性が得られている。
本講演では、フェライト材料の応力特性および高周波化に対する我々の取り組みについて
紹介するとともに、電子部品の小型化、高周波化の流れについても概説する。
- 連絡先: 熊谷健一 (x4422)
物理コロキウム世話人: 中山隆一 (x 2696) , 北 孝文 (x 2687)