Colloquium @ Division of Physics, Hokkaido University
Colloquium, 2000
Division of Physics, Grad. Sch. of Sci., Hokkaido Univ.
以下のように物理コロキュウムが予定されています。
皆さん奮って御参加下さい。
URL of this page is
<http://phys.sci.hokudai.ac.jp/Colloq/Matsumoto2000.html>
Colloquium
1997
1998
1999
2000
題目:
天体回転プラズマの大局的3次元数値実験
講師:
松元 亮治氏
(千葉大学理学研究科物理学専攻教授)
日時・場所:
平成12年 6月7日(水曜日) 16:30から
物理専攻 大学院講義室(2ー2ー11)にて
要旨: 磁場と強く相互作用する天体回転プラズマの数値シミュレータを
開発したので、その概要とシミュレーション結果を紹介する。
活動銀河中心核、銀河系内のブラックホール候補天体、星形成
領域などで観測されている激しい活動性(X線放射、ジェット
形成等)の起源を明らかにすることは、天体物理学の最大の課題の
ひとつである。これらの活動性には角運動量を持った物質が
中心天体に落下する際に形成される降着円盤(アクリーション
ディスク)が関連していると考えられている。
我々は、上記シミュレータを用いて、落下物質が形成するガス
トーラスから降着円盤が形成される過程の大局的な3次元磁気
流体数値実験を行った。その結果、円盤内部で磁気乱流が発達し、
角運動量が効率的に外向きに輸送されて円盤物質が中心天体に
向けて降着すること、角運動量輸送率が従来の現象論的な理論と
観測結果を比較して推定されていた値と一致すること、初期磁場
が弱い場合でも磁気エネルギーが指数関数的に増大して(ダイナモ
作用)、ガス圧と磁気圧の比が10程度の準定常状態に至ること、
円盤内部から浮上する磁束により円盤表面に太陽コロナに類似
した磁気ループ構造が形成されることなどが明らかになった。
さらに興味深いことに、シミュレーション結果をもとにX線強度
の時間変化のパワースペクトルを求めてみると、ブラックホール
候補天体で観測されている変動に類似した1/f型の分布をする
ことがわかった。この変動の起源は磁気乱流中の電流分布の
フラクタル構造にあるらしい。
初期に円盤が鉛直磁場に貫かれている場合には円盤の回転によって
捻られた磁力線に沿って円盤物質が加速され、回転軸方向にコリ
メートされたジェットが噴出する。このような磁気流体ジェット
形成の3次元シミュレーション結果もあわせて紹介し、電波天文
衛星「はるか」等の観測結果と数値実験結果を比較してジェット
の起源を議論する。
連絡先: 羽部 朝男 (x2693)
物理コロキウム世話人:
河本 充司 (x 4423)
<atkawa@phys.sci.hokudai.ac.jp>
大西 明 (x 2689)
<ohnishi@nucl.sci.hokudai.ac.jp>