物性談話会99
Division of Physics, Grad. Sch. of Sci., Hokkaido Univ.
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・題目:
異方的超伝導体の渦糸状態
・講師:
北 孝文氏(物性理論研究室)
(by Takafumi KITA)
・日時・場所:
5月21日(金) 13:00-14:00
大学院講義室(2-211)にて
[5/7 (Fri) 13:00-14:00 @ Lecture Room (2-211)]
・要旨:
高温超伝導体発見前後より今日まで、異方的なクーパー対を持つ物質が 次々と発見されてきた。最近では Sr2RuO4でp波超伝導の可能性が指摘されている。 これら異方的超伝導物質の中には、UPt3のように複数個の秩序変数を 持つものもある。その磁場中での性質は多彩で、少なくとも3個の異なる 相の存在が確認されている。 磁場中の超伝導体の性質は、従来、ギンツブルグ-ランダウ方程式を アブリコソフの方法で解くことにより調べられてきた。 しかしこの方法は上部臨界磁場(Hc2)と下部臨界磁場(Hc1)近傍でのみ有効で、 UPt3で相転移が確認されている中間磁場領域の性質を詳しく調べるのには無力である。 今回の講演では、ギンツブルグ-ランダウ方程式を全磁場領域で 精度よく解く方法を 開発し、それをSr2RuO4のEuモデル(二つの秩序変数を持つモデル) に適用した結果を報告する。 このモデルはナイト・シフト等の実験結果を矛盾なく説明でき、 Sr2RuO4で実現している可能性が高い。 またUPt3に対する一つの有力なモデルともなっており、 その詳細を解明することは大いに意義がある。 この解析の結果、相図の全貌と磁場分布P(h)の磁場変化等の詳細を 明らかにするのに成功した。 一方、同じ手法はボゴリュボフ-ド・ジェンヌ方程式を用いて準粒子状態や 低温・低磁場の性質を調べるのにも大変有効である。 時間があれば磁場中のd波超伝導体の準粒子状態を調べた結果についても 話したい。
・連絡先: 物性談話会世話人(北) (x 2687) <kita@phys.sci.hokudai.ac.jp>