物性談話会98
Division of Physics, Grad. Sch. of Sci., Hokkaido Univ.
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・題目:
凝縮系における超高速緩和と光学過程
・講師:
渡辺 純二氏(光物性研究室)
(by Junji Watanabe)
・日時・場所:
9月18日(金) 13:00-14:00
大学院講義室(2-211)にて
[ 9/18 (Fri) 13:00-14:00 @ Lecture Room (2-211) ]
・要旨:
物質に光を当てると、物質中の電子励起状態と基底状態との間で量子力学的な重ね 合わせの状態ができる。この重ね合わせの状態がもつ、励起状態と基底状態の間の位 相相関(コヒーレンス)は、電子状態とその周りの熱浴との相互作用により徐々に壊 されていく(光学的位相緩和過程)。 もっとも単純な光学過程の一つである二次光 学過程(1個の光子を吸収し、1個の光子を放出する)では、コヒーレンスの時間的な 減衰に対応して光散乱やルミネッセンスが現れ、熱浴との相互作用のダイナミクスが 光のスペクトル上に敏感に反映されてくる。 ここでは、液体中に溶けている色素分子を対象として、その電子系と溶媒分子との 相互作用のダイナミクスを二次光学過程の実験により調べた研究についてお話する。 この系では、熱浴との強い相互作用やランダム系に特徴的な熱浴のフォノン構造を反 映して、光学的位相緩和過程は数十フェムト秒オーダーの大変短い時間で起こる。二 次光学過程の実験から分かった非マルコフ的な位相緩和過程について、また、光エコ ーによる時間軸上での実験との比較などについてお話したい。
・連絡先: 物性談話会世話人(北) (x 2687) <kita@phys.sci.hokudai.ac.jp>