北海道大学 / 理学研究科 / 物理学専攻

Division of Physics, Graduate School of Science, Hokkaido University


超流動3Heの新たな量子渦構造

北 孝文氏(物性理論研究室)

7月11日(金) 13:00-14:00
大学院講義室(2-211)にて


台風・竜巻・渦潮・銀河星雲など、渦は、われわれの身の回りから宇宙スケールにいたるまで、自然界の安定構造として多種多様に存在する。ここでは、自然界の渦を概観したのち、超流動3Heで期待される新たな量子渦構造について講演する。超流動3Heは9つの秩序変数を持つ。そのため、この系では、通常の超伝導体とは全く異なった量子渦が可能となる。実際、すでに7つの新奇な量子渦が3rad/s以下の角速度下で見つかっている。しかし、より高速の回転場下における量子渦については、理論・実験共に不明であった。ここでは、渦が希薄な下部臨界角速度近傍から、渦が密につまった上部臨界角速度近傍まで、その量子渦相図の全貌について、最新の理論的予測を紹介する。