北海道大学 / 理学研究科 / 物理学専攻

Department of Quantum and Condensed-Matter Physics, Hokkaido University


スピンクロスオーバー物質の相転移とダイナミックス

宮下精二氏
(東京大学大学院理学系研究科)

9月26日(水) 13:30-
理2号館211号室(大学院講義室)にて



フントルールと結晶場の競合で起こるハイスピン(HS) とロースピン(LS) の間のスピンクロスオーバー現象は、温度、圧力の変化、あるいは光照射によっ て引き起こされ、興味深い物性を示すものとして注目されている。一般に、低温 ではエネルギー的に有利なLS状態、高温ではエントロピー的に有利なHS状態が実 現されるが、分子間の相互作用の強さによってその変化は連続的なものから不連 続な一次相転移といろいろな形態を示す。同様な変化は、電荷移動型といわれる 物質でも起こるが、これらの秩序形成の一般的な特徴を議論する。また、通常の 短距離相互作用イジング模型とは違い、分子の大きさの変化に伴う弾性相互作用 による相転移の場合の臨界現象がいわゆる分子場普遍性を持つこと、またその秩 序形成の特徴についても議論する。また、光照射による非平衡相転移についても 議論したい。